アンティーク着物の話2

母方の祖母の形見の帯があります。

祖母が結婚したころですから、大正時代のものでしょう。

鮮やかな緑色の丸帯で、結婚記念の写真にもしっかりと写っています。

夫の祖父の家では呉服屋を営んでいたこともあり、嫁入りの時にはたくさん着物を持っていたと聞いています。

私が着物を着るようになって、母に「おばあちゃんの着物って残っていないの?」と訪ねると「戦後にお米や私のスカートに変わっちゃったわねー。」なんともつれない話でした。大島紬などあったらしいのですが、それは母が東京に出てきた時の洋服になったらしいのです。

戦争がなければ、もしかするとけっこういいアンティーク着物が私の手にあった・・・と思ってみても、もう仕方がありません。

戦後の苦しい状況でも、祖母はお嫁入りの帯を手放さなかったのでしょう。今では、伯母と母の2人のところに2つに分けられて残されています。

丸帯というのは、昔は今の帯幅の倍で織られているもので、昔はこれを折って着付けていたようです。

倍の幅があるため、今で言う「袋帯」が2本に分けらることができます。

その1本が私の母の手元にあるわけです。

だいぶ古くはなっているのものの、重厚に織られていることは変わらず、昔の人の技術のすばらしさを感じます。

もう、私には色と柄が若すぎて締めることはできませんが、いつか娘たちが身につけてくれるとを期待して、大切に保管しておきます。