雨の日と草履のこと

今年の夏は、例年になく雨が多い季節になりました。

着物生活していると天気が、いつもより気になります。そして、外出するのに雨が降っていたり、夕方から雨という予報だったりですと雨ゴートや草履カバーなどいろいろと準備するので荷物が多くなりがちです。

特に訪問着を着るようなパーティや食事会などでは、足袋が汚れた時のために替えや、行くときには雨用の草履を履いていくので、会場についてから訪問着用に草履に履き替えたりと旅行でもないのに旅行に行くかのような荷物を持っていくこともあります。

着物が日常であった頃、雨の日にはどうしていたのかしらと想像してしまいます。

現代では、洗える着物がありますし、木綿の着物で対応できますが、たいへんなのが草履なのです。草履は、構造上雨に弱いのです。鼻緒をすげるために底に穴があります。そこから雨が染み込むのはさけられません。以前、そういうこと知らずに小雨の時に普通の草履で2日間歩きまわったことがありました。お友達の結婚式に着物で出席したのですが、帰りに歩いているとなんか足もとがすべるなあと思ったら、なんと片方の底が半分はずれかけて、ブラブラしているのです。恥ずかしいやら歩きづらいやら、歩幅を小さくしてなんとか帰ったという失敗もしました。

雨への対策として、底がウレタンでできた草履もあり、雨の日にはぴったりなのですが、鼻緒の調整ができないので履きづらかった経験があります。また、普段の草履にカバーをかけてという方法もあるのですが、やはり歩きづらいのと、あまり格好はいいとは言えなくて、あまり好きではないのです。

他には、雨下駄という雨用に履く下駄があります。つま先には、爪皮というつま先をカバーするものをつけて履きます。ただし、下駄は慣れないと歩きにくいのです。靴という足底の動きにある程度ついてくる履物になれると板状の履物はつらいものです。デコボコした道や階段を上がるときなど転んでしまいそう気もします。昔は、下駄で自転車に乗ったり、走ったりすることもあったらしいのですから、反対に現代人の方が、足がしっかりとしていないということなのかもしれません。

雨の日に雨下駄を履いて、きれい色の雨ゴートを着て、蛇の目傘をさしてなんてことができれば、なんて格好いいのでしょう。雨の日の着物生活も楽しくしたいとは思っています。

今のところは、小雨や雨上がりは、底が雨対応の草履で、けっこう降っている時は草履カバーを併用しています。

考えることの多い、雨の日と履物です。